【感想】ドキュメント「シン・仮面ライダー」〜ヒーローアクション挑戦の舞台裏〜

シン仮面ライダーのドキュメンタリー、NHKオンデマンドでようやく観れた。面白かった。

以下感想文。※ネタバレあります。

●デザイナーが描かれたスーツのアイデアイラスト、本来スタッフしか見ない(資料集とかで観客も見れはするけど)ものがもう鑑賞に耐えうるくらい作品として綺麗。

それが自分の絵を世間に見せていきたいと、世の中の片隅で思う僕からしたら「身内に見せるだけのものにも(資料集に載せるとはいえ)これだけ手が込んでるのか」と(映画界では当然の事なのかもしれないけど)、絵描きが本業でない人でもこんなに描く、描ける(そして+α本業がある)という点に、底辺絵描きの僕はうちひしがれた。

●役者さんサイドから演技プランのすり合わせを、監督交えてやりたいと言って、監督もそれに応えて会議を行う事もあるというのが意外に思った。

僕は監督の意向に沿って、他の方々はそれに合わせて制作されるのかなと先入観が元々あった。ただこの映画においては、庵野監督が演者、スタッフからアイデアを引き出したいというスタンスのようだった。

でもそういう能動的に(こういう世界の方には当たり前なのかもしれないけど)作品に携わっていく空気は良いなと思った。

●上記にも関連してるけど、庵野監督は音楽でいう所の即興演奏、ジャムセッションのような、演じる側も思いも寄らない化学反応が起きたアクションを撮りたかったんだなと思った。

そこがアクション監督田渕景也さんの、段取りを行った上で(演者の安全面も考えなきゃだろうし)かつリアリティのある殺陣をしたい意向とギャップがあったんだなと思った。

そのすり合わせの様子は、アクション部の方々が非常に胃が痛くなるんじゃないかという空気が、画面から伝わってきた(アイデアを否定されても、そのアイデアありきでもっとないかと探す作業が行われるので、アイデア出さないと始まらない、でも否定はされる、出す側はまあキツいだろうなと思った)。

●おそらく「ここにパンチがくる」と知りながら対処するアクションより、どこに何が飛んでくるかわからない格闘技のような空気感を捉えたかったのかなと感じた。

●現場でどんどん変わっていくアクションプランの中、SNSでもよく流れてくる、本編では使われなかったショッカーライダー集団とのアクションシーン。

5分で考えて5分で撮ったという荒い立ち回りに、庵野監督が初めて1発OKを出したというシーンを観て、主演の池松壮亮さんがあ、そういう方向性なんですねとそれをキャッチされて、演技プランが固まっていった様子が、全体に光明が射したように見えて少し爽快だった(そしてアクションの素人である池松さんが、アクション部にそうした意見を伝える様子も、アクション部の方々がそれを真摯に受け応えしてる様子もあった。簡単なようで、なかなかできない事だと思った)。

●クライマックスについては、映画本編を観ただけでもその意向が表れていたなと感じた。

●一番重要視されてたのは、観客を引き込む映像を捉えたいんだ!という点で、そこは終始一貫してたと感じた。

それはスタッフ全体に共有されてるが、それを体現するために携わる方々の考えが交差して、紆余曲折あって完成に至ったんだなと感じた。

●僕の結論●音楽で例えるなら、簡単な進行だけ決めつつ、あとは即興演奏で、自分もみんなも思いもよらない、化学反応を演者から引き出したい!という方向性で進めてたら、みんなヘトヘトになるほど演奏する事になった。僕も即興の化学反応を楽しむのは好きなので、その感覚はわかる所がある。僕はその結果を、そこから良かったテイクを、作品として映画館で楽しんだんだなと思った。

素人目に思ったのはこんな感じでした。

携わった事のない仕事の世界を垣間見れるのは興味深いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です