書籍「手塚治虫がねがったこと」

僕が20代前半くらいだったので2000年代前半くらいだっただろうか、斎藤次郎著「手塚治虫がねがったこと」を読んだ。

いまは手元にないので細かくは覚えてないのだが、僕がその本から受け取ったのは、

「手塚治虫が描こうとしたテーマは、人間は善の心も悪の心も持っていて、その間でもがきながら善を選択しようとする所に生命のダイナミズムがある」

といったような内容だった。

それを読んで、手塚治虫が火の鳥を描いたのも、鉄腕アトムで悪役スカンク草井に”アトムは完全ではないぜ。なぜなら悪い心を持たねえからな”と言わせたのも、手塚治虫の中で(もともと善の心しか持ち合わせていない)鉄腕アトムの評価が低いらしいという事もわかる気がした。

僕は妙にほっとした。

どんな人でも、誰の頭にも天使と悪魔は現れるものなんだと思えた。

表れた上で、自分はどの選択を取るのかが大事なんだと思った。

悪魔がよぎった事を否定するよりも、認めた上で考える方がずいぶん心持ちが楽で好きな考え方だった。

また、僕が好きな物語や作品の面白さは、そうした狭間で揺れ動く登場人物達が創り出していると思うと、その人間臭さと、人間臭さを肯定してる感じが良いなと思った。

気づいたら、こう思った事が今の自分の基盤のひとつになっているなとふと思い出した。

手塚治虫がねがったこと (岩波ジュニア新書) https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b269048.html

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